1960年、70年代においては、男性であれば、たいていは30歳ころまでには結婚し、子供の1人や2人はいたものだ。
また、女性も20代の前半、どんなに遅くとも、30歳になる前にはたいていの女性は結婚していた。娘が結婚すると、親は片付いたといって、一安心したものだ。
ところが、今では、晩婚化どころか、未婚化が急激に進行しており、「平成17年国勢調査」では、男性30~34歳の未婚率は47.1%、女性25~29歳の未婚率は59.0%にも達している。
これは、独身男女の結婚願望が少なくなったためであろうか。しかし、婚活番組に希望者が殺到しているところから見ると、どうもそうではなく、結婚願望があるにも関わらず、多くの独身男女が結婚できないのが実情のようだ。
その原因は、結婚に対する意識や、相手に求める条件に大きな格差があるように思えてならない。
結婚がそれほど難しくない時代では、お見合いが主流で、世話好きの近所のお年寄りが写真を持ってきて、気に入れば、実際に会って決めるのが普通であったが、その際、男性は相手の女性に余り多くを求めず、容姿が人並みで、良く働き、性格が良ければそれで良しとしたものだ。
また、女性の側も、20代の年頃になると、親から、早く嫁に行けと急かされるし、せっかく持ち込まれたお見合いを断ると、「あそこの娘は」と評判を落としてしまい、2度とお見合いの話が持ち込まれなくなるおそれがあったから、よほどひどい男性でない限り、多少のことは目をつむって、男性側がOKであれば結婚に同意したものだ。
当時は、あれこれ条件を付ける女性は、「はしたない」として嫌われていたから、とりあえず結婚して、後は、夫に従って、苦楽を共にしながら、うまくやって行くしか選択肢はなかったのだ。
しかし、最近は、未婚男女の多くが、結婚には多少の妥協は必要だと認識しているにもかかわらず、女性の大半が男性の経済力を重視している。
女性が男性に求める年収の平均は600万円であり、これは、実際のサラリーマンの平均年収437万円を遥かに超える額である。
今時、600万円もの年収を得ている20代、30代の独身者男性が、一体どれほどいるだろうか。また、女性の容姿は主観的なものであり、年収の低い独身男性が、自分の理想にピッタリの容姿をもった女性を見つけるのは、至難の業であろう。
「もっといい人がいるかも知れない」という青い鳥願望や、「亭主元気で留守がいい」と、男性に高学歴、高収入を求め、専業主婦で安穏な生活を夢見ても、しょせん、それは適わない夢でしかすぎない。
実際の生活は苦難の連続であり、それを夫婦が助け合って乗り切るのが結婚生活であることを自覚し、覚悟を決めない限り、いつまでたっても、結婚はできないし、たとえしたとしても、希望は失望に代わり結婚生活は長続きしないであろう。