■マットレスの役割で、最も重要なのが身体を支えること(支持性)です。
睡眠中は、脳や筋肉などあらゆる機能が停止するため、筋肉が緩みダランと力の抜けた状態となります。
そのため、最も荷重のある肩や腰に大きな負担がかかりやすくなります。
肩や腰に大きな負担をかけないために、ダランと力の抜けた身体を支える筋肉の役割を担うのがマットレスの役目です。
しかし、マットレスには身体を温めたり、汗を吸い取ったりする機能が殆どありません。
このため、敷きふとんで処理しきれなかった汗がマットレスに溜まり、ダニやカビが発生しやすくなるため、汗の処理(通気、発散性)を考慮した設計であることが必要です。
■柔らかいマットレスほど、お尻が落ち込みやすく腰痛になりやすくなります。
日中、腰にたまった疲労は就寝することによって回復していきますが、柔らかいマットレスで寝ていると、お尻が下に落ち込み腰に大きな負担がかかってしまい、疲労を回復させるどころか、余計に悪化してしまうからです。
このため、マットレスには、腰部の筋肉の緊張が解けてもお尻が落ち込まない支えが必要なのです。
■身体にフィットするマットレスほど「寝返り」を妨げます。
「寝返り」は睡眠中、体の一部に圧迫を感じることで起きます。
「寝返り」によって圧迫部分が開放されると、血液がスムーズに循環し、血行不良を防ぎます。
また、日中に生じた背骨など全身の歪みを矯正する働きもあります。
しかし、柔らかくて身体にフィットするマットレスは、圧迫を感じないため、筋肉の緊張緩和や血行促進に欠かせない「寝返り」を妨げてしまいます。
逆に固すぎると痛みを感じるため、必要以上に「寝返り」を行い、背骨や腰の筋肉に無理な力がかかってしまい、翌朝疲れが残るということになりかねません。
マットレスは、適度な固さで「寝返り」をごく自然にしやすい適正な支持力のあるものが必要です。
スムーズな「寝返り」が、背骨の歪みを矯正し血行不良を防ぐため、首、肩、腰など全身の疲労を回復させるとともに「深い眠り」へ導いてくれるのです。
■こんなマットレスを選ぼう
腰部の筋肉の緊張が解けてもお尻が落ち込まない優れた支持性、適度な固さと適度な厚さで寝返りが打ちやすいことが理想的なマットレスの条件です。
そして、汗の処理を考慮した薄めの多重構造が一番です。特にその中でも、日本人の体型に合わせ腰や身体に優しいものが理想的です。
ウレタンなどで作られた柔らかいマットレスは、体圧分散性には優れていますが支持性に乏しく、汗の処理が苦手なため、肩こりや腰痛の方には向いていません。
また、スプリングやコイルなどを使用した金属製のマットレスは、身体に悪影響を及ぼしてしまうため注意が必要です。