高齢者がひざ痛になる原因の多くは「変形性膝関節症」です。
これは、加齢によって関節軟骨や半月板が摩耗することによって発症します。
まず、関節軟骨がすり減ってくると、関節の空間を裏打ちする滑膜(かつまく)の細胞が刺激されて炎症を引き起こし、膝が腫れたり、熱を持ったりするようになります。
このように、膝が腫れるのは、刺激を受けた滑膜から関節液が過剰に分泌されて膝にたまるためで、これがいわゆる「膝に水がたまった」状態です。
こうして関節炎が引き起こされ痛みが現れます。
また、関節の炎症が収まったにもかかわらず、痛みが持続することがあります。
これは、関節の中ではなく、関節周囲の関節包や腱、筋肉に起こる痛みです。
関節の炎症がおさまったあと関節包は以前よりも硬くなります。
関節包は膝の動きに連動して伸び縮みしていますが、一度硬くなってしまうと、膝の動きに対応できなくなります。
その結果、関節の動きが悪くなり、スムーズに歩くことができなくなるとともに、関節包が無理に引っ張られて膝が痛むようになります。
この結果、膝の曲げ伸ばしがつらくなると痛みを避けるために膝をかばって行動するようになります。
そうしているうちに、膝周囲の筋肉や腱が縮んで硬くなってこわばり、膝関節に新たな痛みが現れるようになります。
また、膝周りの筋肉の衰えも原因となります。
この筋肉には、膝の関節・腱・骨などを支えて、膝の動きを安定させる大切な役割がありますが、加齢に伴って関節周囲の筋肉が減少したり柔軟性が低下して硬くなったりすることで、膝の痛みにつながります。